「お婆ちゃん、それでそれで?それからどうなったの?」
「二人が去った後、家に残った女はな、どこからきたのか黒い炎に包まれて消えてしまったんだと。
近所の人達が、火事だっていうんで大慌てで帰ってきた父親が見た時は、家はもうもうと黒い煙をあげていてな、燃え盛っているところ。
ようやく火が落ち着いて焼跡に入ってみると、家にいたはずの母親と娘の姿はどこにもない。
その代わりにな、大きな大きな蜘蛛が、焼け焦げて死んでおったそうなーーーー」
キャー、こわーい!と声を揃える少女たち。
そこへ少女たちの母親が声をかけた。
「ちょっと、またその話してるの?夜眠れなくなるからあんまり怖がらせないでね、お母さん。私も小さい頃お婆ちゃんから聞いたわぁ、その話。
妙に怖かったのを覚えてる。
そうそう、明日にはもう帰るから、お土産買いに行ってくるわ。あなた達も行く?そう、じゃ、準備して。」
そういって、バタバタと廊下を歩いていく。
「お婆ちゃん、昔のお話、まだ続きある?今度来るのは夏休みだから、続くなら、今の内に聴きたい!」
「じゃあ、お買い物にいった後に話してやろうかね。ほら、行っといで。」
はぁいと返事をして、少女たちも廊下をかけていった。
急に静かになった部屋。
カチカチと、誰かの歯がなった。
終わり
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